JAZZについて

 

ジャズは、原曲をモチーフに、その場に参加しているすべての演奏者が相互に呼応・触発し合いながら(インタープレイ)自由な発想や解釈で原曲を発展させ(インプロビゼーション)、聴いている人に新たな感動をもたらすもの、です。

 

 演奏の全体の流れは、下記のようなパーツに整理することができます。この全てで演奏者によるインプロビゼーションが行われ、演奏者相互のインタープレイが行われているわけです。

 

      ①イントロ(前奏)

      ②テーマ(主旋律)

      ③各楽器のアドリブ(ソロ)

      ④後テーマ

      ⑤エンディング(アウトロ)

 

 

①イントロ

 

 曲のテーマ(主旋律)が始まる前に演奏される導入部分。正式にはイントロダクション。一般的な楽曲(ポップスや歌謡曲)の場合は、イントロは事前に作・編曲されたものが演奏されますが、ジャズはイントロを担当する人(通常ピアノが多い)がその場で考えて演奏することが多いです。なかには、定番のイントロがあり、その曲を演奏するときはお約束になっているものもあります。

通常4~8小節程度の短いものが演奏されます。ボーカルの人が歌う場合、曲によってはバースというイントロよりももっと曲として出来上がっているような、16~32小節程度のものが演奏されることもあります。これには、テーマとは別の歌詞がついています。その場にいる演奏者の誰もイントロを思いつかない場合は、イントロを演奏せず、カウントで曲をスタートさせることもあります。

 

②テーマ(主旋律)

 

 ジャズで演奏する曲は、アメリカで昔(1930~1960年頃)流行った、みんながよく知っている曲が多いです。

 この曲(群)のことをスタンダード(スタンダードナンバー)といいます。この曲をモチーフ(題材・素材)にして、各演奏者が自分なりのジャズにインプロバイズしていきます。

 テーマは、メロディを演奏できる楽器であればどんな楽器でも担当できます。実際に演奏するのはその曲でフューチャー(注目)されるべき楽器です。例えば、セッションでその曲を演奏したいと言い出した人。演奏する人の中にボーカリストがいたら、例外なくその人が歌いますボーカリストは、このテーマの歌詞を歌います。

 テーマは、多少フェイクすることはありますが、アドリブほど崩すことはありません。通常は原曲のメロディをそのまま演奏することが多いです。

 

③各楽器のアドリブ(ソロ)

 

 テーマの演奏が終われば、引き続き各楽器のアドリブに移ります。ボーカリストスキャットを歌ってアドリブに参加することがあります。

 アドリブは、ジャズを構成する大事な要素です。ジャズの醍醐味となる部分です。原曲のテーマを演奏者の自由な発想で発展させたものです。

 自由な発想と言っても、いろいろな制約があります。中には、フリージャズのようにまったく制約が無い場合もありますが、ここでは除外します。

 

 楽器の方が特に困っているのは、このアドリブ(ソロ)をどうしたらうまく演奏できるか、だと思います。

 アドリブ(ソロ)を演奏するうえで最も大事なことは、自分自身の内から湧き出るメロディで表現する、ということです。

 演奏者自身のオリジナリティを求められるものと思ってください。偉大な先人や先進的なプレーヤーの音楽をたどるのは、ジャズを理解する上でとても大切なことですが、うまくアドリブができないからといって、それらのプレーヤーの演奏をまるまるコピーして演奏していたら、確かにジャズのように聞こえてくるかもしれませんが、それはジャズとは言えません。

 

 自分の内から湧き上がるメロディは、誰もが持っています。これをジャズの演奏に生かすための理論や演奏技術が必要になります。バック(伴奏)にはコード進行による和音の響きの変化もありますし、リズムの変化もあります。そういったものにマッチしないと、調子はずれな演奏に聴こえてしまいます。

 ジャズとは複数の楽器で演奏することが多く、バックで演奏しているいろいろな楽器の演奏者と協調して一つの曲を演奏(アンサンブル)しなければ、聴いている人に感動を与えることはできません。

 

④後テーマ

 

 各楽器のアドリブが終わったら、再度テーマを演奏します。

アドリブの余韻が残っていることから、若干フェイクした演奏となることが多いように思います。

 

⑤エンディング(アウトロ)

 

 曲の最後はエンディングを演奏します。イントロはピアノにお任せ、となるのに対して、エンディングは演奏者全員が絡むので、セッションなどでは事前に決めておくことが多いです。

 エンディングのパターンは何通りかあって、それのうちどのパターンにするか決めます。

 なお、パターンは決めますが、演奏者は他のパーツ同様にインプロバイズしたものが演奏されます。

 イントロと同様に、お決まりのメロディを演奏するものもあります。